メンタルヘルス

メンタルヘルスの「門」

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I.ウツは心の風邪



このような 言い方がされるようになったのはいつ頃からだろう。
たかだか30年前にはなかったことだ。職場のメンタルヘルスの重大性についても、強調されるようになった。「ウツは心の風邪」という表現は、両手をあげて歓迎しておいて良いことなのだろうか。


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Aさん



彼は、一部上場企業の鹿児島支店に勤務する真面目なベテラン社員である。
ご時世の時短・リストラ・業務過多からうつ状態を発症し、4ヶ月の休養後復職した。2~3週たったある日、廊下で出会った支店長に声をかけられた。

「だいぶ顔色が良いじゃないか。あとは気合いだな。自分に甘えず頑張りなさい」。

最近の企業人向けの雑誌には、メンタルヘルスの特集がしばしば組まれている。
うつ状態早期発見チェックリストなるものも多数あるらしい。うつ状態の部下に対して避けるべき言葉や態度についても、簡明に記載してあるようだ。

だが、いざ自分の目の前で起こると、つい癖のように励ましたくなってしまうものなのだろうか、

(ウツは、風邪のように誰でも罹るが、休めば治る、あとは気合いの問題、と)。


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Ⅲ.職場のメンタルヘルス



職場のストレスは、以下の三つの要素の三次元的構成によって左右されるといわれる。(カラセックの三次元モデル)。

仕事の自己裁量度(横槍の多少)
仕事の量・質(きつさ加減)
上司からの支持

頷けるところではあるが、これらの配慮が効率化の対極に置かれるものであってはならない。表面的で形式化・形骸化してしまっては仕方がないのだ。

否、その前に、これらの配慮の必要性に関してすべての事業場で、
まずは「認識されること」だ。


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Ⅳ.明るく開かれた、決して小さくはない「門」



速さも大切だが、丁寧さも必要だし、おざなりでは困る。
体力も大切だが、情の薄くては困るし、責任不在はなお困る。

≪一面的でなく、二面的・三面的に考えることのできる≫
メンタルヘルスに配慮した職場がもっともっと増えて欲しいものだ。

「ウツは心の風邪」という言い方が誤解されることなく、事業場の、あるいは社会のメンタルヘルス理解へ至る、明るく開けた「入り口」であれと心から願っている。


鹿児島県医師会報「産業保健の話題」
2006年09月 

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