メンタルヘルス

メンタルヘルスケア

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1.はじめに



この数年、労災認定に占めるうつ病を始めとするメンタルヘルス関連の割合が案外多いことが、しばしば話題になります。 心の健康を保つことを、ついこの前までは「精神衛生」といっていました。

しかし衛生という言葉には、消毒、排除という陰の意味が透けて見えるようで「精神衛生の主な対象は精神病という雰囲気」が確かに当時はあったような気がします。

その後、呼び名は「精神保健」と変わり、ストレスへの対処、不眠症、不安やうつ病なども、これまでのように些少な問題として扱われることも次第になくなってきました。そして最近では「メンタルヘルス」という優しげな言葉が聞き覚えのある響きになって、不眠症やうつ病は職場における大切な問題の一つとして認知されるようになってきた印象があります。

主として精神科を診察対象とするクリニックが参加する団体である日本精神科診療所協会は、1974年に150施設の参加から始まり、1987年には1500施設あまりが参加するまでになり、全国的に精神科クリニックは増加する傾向にあるようです。鹿児島県内でも、精神科クリニックは現在14施設(鹿児島市内に10施設)を数えます。

このことは、
メンタルヘルス(心の健康)の維持、心の病気の早期発見・早期治療
という意味で、ようやく心も身体並みにケア(メンタルヘルス・ケア)できる時代になったということなのだろうと考えています。

受ける相談の内容は登園拒否から痴呆まで、まさに揺りかごから墓場までを地でいっている感がありますが、近年次第に多くなっている年齢層といえばやはり壮年期(働き盛り)以後の年代ということになりそうです。その中でも際だって多い相談は、何と言ってもうつ病に関するものでしょう。





うつ病はよく「心の風邪」とたとえられますが、風邪もこじらせると肺炎の危険があるように、うつ病も早期診断・早期治療を怠るとこじらせてしまいます。それを、遷延性うつ病と名付けたりもしますが、その間にしばしば自殺に至る症例を認めることがより深刻な問題だろうと思います。

そこで今回は、うつ病に関して少々述べてみることにします。


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2.うつ病とはどんな病気か



これは「病気」である(決して弱さや怠けではない)
原因は過剰なストレス状態が持続した結果であることが多い。
特殊な病気ではなく誰でもかかる可能性のある病気である。
うつ状態には特徴的な初期症状がある。
適切な休養と治療によって必ず良くなる病気である。

以上のようなうつ病の特徴について、正しく認識しておくことが大切です。


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3.うつ病の初期症状



初期症状としては以下のような項目があげられます。

<食欲>空腹感がなく食べてもおいしく感じなくなった。
<睡眠>寝付きが悪くなり、酒量が増えてきた。
<感情・情緒>活き活き感・充実感を感じなくなった。
<倦怠感>ちょっとのことで疲労しやすくなり、そのため「周囲に迷惑をかけているのでは」と引け目を感じるようになった。
<対人関係>人に会うのが苦痛で何をするのも億劫に感じるようになった。

以上の項目の複数が当てはまり、少なくとも二週間程度持続したら、うつ状態の初期の可能性があります。初期症状のうちに、身近な頼りになる人(配偶者、両親、先輩、友人など)、

または適切な相談窓口(企業の保健室、地域の保健所など)に早めに相談することが大切です。 うつ病を防ぐための工夫、治療法などについては項を改めて述べることにします。


鹿児島県労働基準協会機関紙「さんぎょうほけん」
2006年4月

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